ファミリーマートが展開するキャッシュレス決済サービス「FamiPay」で、最大で決済金額の半額相当のファミペイボーナスが還元されるキャンペーンが開催されていたことは、ここでも取り上げたとおりです。
キャンペーン中止までの経緯
1月19日からおこなわれていた同キャンペーンは、同25日のドラッグストアでの還元期間終了までは問題なく進行していました。
昨日からは、対象の飲食店での決済が還元対象となり、まもなく多くの対象店舗が開店しているランチタイムを迎えました。
ところが昨日速報でお伝えしたとおり、昨日11時すぎからファミペイ決済が使えない状態が発生しました。
一時は障害から復旧したことが公式に発表されました。
11時27分に発生した
FamiPay決済においてアクセス集中により、QRコード・バーコード決済が一時的にご利用できない状況
は、同日13時18分に復旧したとのこと。
またユーザー側の操作ミス防止の観点から
ファミリーマート以外の街のお店でお支払いいただく場合は
ホーム画面中央(青色ボタン)
「ファミリーマート以外で支払う」
よりお支払いいただけます
との説明書きがあらためてありました。
しかし、その後もトラブルの報告があり、6時間後の19時40分時点で、ふたたび利用しづらい状況になっているとの告知がありました。
そして、当日中の完全な復旧をみることなく、その日の深夜2時ごろ、急遽キャンペーン中止の判断がくだされました。
現在のファミペイ決済の状況
現在、ファミペイでは「ファミリーマート以外で支払う」機能が、昨日からの障害により使用できない状況となっています。
午前5時ごろからメンテナンスに入っていますが、現時点で復旧の予定は未定です。
ファミリーマート以外で決済をしようとしても、システムエラーでバーコードを表示できません。
ただし、
ファミリーマート店頭でのお支払い、オンライン決済、FamiPayチャージ等の各種サービスついては通常通りご利用いただけております。
とのことなので、ファミマでのファミペイ決済や、ラクマなどでのファミペイオンライン決済については現在利用可能とのことです。
事実、ファミリーマートでの支払い時に見せる決済画面は、エラーなく表示することができます。
現在のキャンペーンの状況
公式のアナウンスのとおり、ファミリーマート以外での半額還元イベントは打ち切りとなり、対象の飲食店での還元や、後日予定されていた家電量販店での還元はなくなりました。
家電を半額で買おうと意気込んでいた方にとってはこの上ない悲報ですが、障害から復旧しない以上は仕方がありません。
なお、ファミリーマートでのファミペイ決済による最大半額還元は2月1日まで従来どおりのルールで継続します。
また、今日午前5時以前までに対象の飲食店でファミペイ決済をエラーなく完了できた方は、該当する決済金額に対して、最大半額還元の対象となります。
そのほか、すでにファミリーマートや対象のドラッグストアでファミペイ決済した買い物についても、該当する決済金額に対して、最大半額還元の対象となります。
つまり、キャンペーンが中止となったからといって、キャンペーン期間中のすべての対象ファミペイ決済の還元がなくなるものではないので、ご安心ください。
(還元分のファミペイボーナスは、2月25日頃に付与)
障害発生の要因
告知では、アクセス集中による障害とありました。これが根本的な原因であることは、まず間違いないようです。
ではなぜ今まで問題なく利用できていたファミペイが、このような問題に直面してしまったのでしょうか?
同キャンペーンにおいて、1週間にわたり展開されていたドラッグストア利用による還元期間は、無事に完走しています。
しかし、飲食店の対象期間になった瞬間、即日で障害となってしまいました。
これは単純に、ファミペイ決済機会がどのタイミングで存在するかということにほかなりません。
仮に2つのキャンペーンで同じユーザー数が同じ回数だけ対象店舗でファミペイ決済をするとします。
ドラッグストアの場合は、それぞれ自由なタイミングで買い物をおこなうため、ある時点にファミペイ決済が集中することなく、決済タイミングがある程度分散しています。
ところが、飲食店の場合は違います。多くのユーザーは12時ごろの昼食か、18~19時ごろの夕食の時間帯に食事をし、決済をします。つまり、同時間帯、あるいはちょうど同じタイミングのファミペイ決済が集中するわけです。
ランチタイムは、多くの企業や組織が12時からの1時間としていますから、特にこの時間帯の決済は集中しやすいです。
実は今までもアクセス集中が原因で決済サービスが停止する可能性はありました。
しかし、少ないユーザー数と、少ない決済機会のおかげで、それが露呈することなく、あるいは障害が発生したとしても比較的小さな規模で過ごしてこれたわけです。
しかし、システム負荷のテストが不十分だったのか、今回のキャンペーンのように、一時的に大量の決済が集中するようなケースが発生した場合に、実はサービスが停止してしまうということを、管理者側は知らなかったようです。
システムのキャパシティを考慮せずに、利用が集中するようなキャンペーンを実施した結果、今回の問題が露呈しました。
今回はたまたまキャンペーン期間中に発生したものの、これはつまり、実は自然的なファミペイユーザーの増加によるファミペイ決済機会の増加にも対応できていなかったということにもつながります。
新規ユーザーを取り込むための企画が、実は自分自身の能力を十分に評価できておらず、取り込んだユーザー分の決済をさばけない可能性があった・・・
今回の障害からの復旧は、たんにシステムにたまったリクエストを処理して、システムを再稼働させるだけでは不十分です。
今後のユーザー数の増加や、決済の集中に耐えられるだけのシステムを再設計しなければ、また同じ問題を繰り返すことになります。
そのため、今回の障害からの復旧はしばらく時間がかかることになりそうです。
ファミリーマートとオンラインでの利用は、システムが別系統であった・・・
ファミペイ決済全体が止まり、チャージ金額が一切利用できなくなる最悪な事態には至らなかった、不幸中の幸いとも言えましょう。
まとめ
ファミペイ決済は、ファミリーマートとオンラインでの決済は引き続き利用可能です。
また、キャンペーンもファミリーマートでの対象の決済については、ひきつづきキャンペーン対象となります。
加えて、すでに決済したキャンペーン対象の金額に対する還元も、予定どおりおこなわれます。
しかし、ファミリーマート以外での店舗でのファミペイ決済は停止しているほか、復旧予定も不明です。
また、これにともない、飲食店・家電量販店の利用による半額還元は、すでに決済された分を除き、キャンペーン中止=半額還元の対象外となりました。
そのほか、キャンペーンのためにすでにチャージした分の金額の返金は、現時点で予定されていません。過去のセブンペイのサービス終了問題とは異なり、ファミペイ決済はまだ継続しているため、本来の使途とは異なるお金の使い方にはなるかもしれませんが、そちらでファミペイを活用するしか、現時点ではなさそうです。
しばしば還元キャンペーンを展開するファミペイなので、チャージしておいて損することはないと思いますが。
今回のアクセス集中によるサービスダウン問題は、政府が推進するキャッシュレス決済における大きな不安要素です。PayPayなど、大量のユーザーを保有するキャッシュレス決済でも、大規模キャンペーン時にシステム障害が発生する例はたびたび報告されています。
システムがダウンすると、スマホ1つで決済できない・・・
ふつうの買い物であればまだいいかもしれませんが、飲食店のようなサービス利用後の事後決済では、払わないわけにはいきません。そのときの不利益は、ユーザーと導入事業者の両方に降りかかり、キャッシュレス決済システムそのものの信用をおとし、よってキャッシュレス離れへともどっていく要因にもなりえます。
〇〇ペイが次々と生まれていますが、ふとした理由でサービス停止に追い込まれる可能性があることを、サービス実施事業者は改めて理解し、システムの再点検を行うべきでしょう。
とにかく、今回の障害で強くなって帰ってきてくれることを願います(´・ω・`)